かんそうのほんだな

僕だけがいない街 2巻 三部けい 大事に行けよ

僕だけがいない街 2巻 三部けい 大事に行けよ

おー、1巻を知っていれば燃える表紙じゃあないですか。

前の巻で18年前の連続誘拐事件の真犯人に気づいたばかりに殺されてしまったカーチャンも、その誘拐事件で殺されたクラスメートも、見た目は子供、頭脳はピチピチの29歳のリバイバーSATORUくんが丸ごと救ってやる!という展開に、18年前にどこかに置き忘れた私の少年心も期待で膨らみます。

素直に言ったら怒るのに「素直にハイって言えないのか!」という理不尽な叱られ方に、泣くか歯がみするか、PCエンジンのR-TYPEやりたいなぁと思いを馳せつつ究極ハリキリスタジアムで相手チームの主力選手にワザとボールをぶつけて乱闘で退場させまくったり、コナミワイワイワールドの最終ステージで協力プレイの息が合わず穴に落下してケンカになったりして気を紛らわせるしかなかった、あまりにも無力だったあの頃ではありません。

酸いも甘いも噛み分けた三十路間近の頭脳と行動力が、主に雛月加代を救う!と考えていた時期が俺にもありました。

僕だけがいない街 2巻 僕だけがいない街 2巻

第2巻収録話
第7話 「失われた時間 1988.02」
第8話 「私だけがいない街 1988.02」
第9話 「失敗の始まり 1988.02」
第10話 「クリスマスツリー 1988.02」
第11話 「くり返す光景 1988.02」
第12話 「バースデー・パーティー 1988.03」

悟が気合いの「リバイバル」で飛んだ先は昭和63年2月15日。

「友よ… 君達はなぜ、悪魔に魂を売ったのか!」で皆さんご存知「超獣戦隊ライブマン」が放送開始した年月ですね。
自ら進んで脈打つ脳みそ差し出したり、女性が機械になって爆散したりと色々衝撃的でした…

さて、悟のクラスの子達はまだギリギリ放送していない為か、声優の中田譲治さんが大教授ビアス役をやられていた超獣戦隊ライブマンの話題は無し。
ドラゴンクエスト(おそらくⅢ)やファイナルファンタジー(おそらくⅡ)などの話題をしている季節。

エニックスとスクウェアが3年前に合併して、とっくにファイナルファンタジーXIIがでている時代から飛んできている悟は、もちろんレトロな話題に興味を示しません。

日本中の子供達が、やらなきゃ話題に取り残されるくらいの勢いがあったゲームだけに、話せばうっかりネタバレも交えつつ懐かしさも手伝って盛り上がってしまうかもしれませんが、そんなことより悟の目標はこの年、この1ヶ月後に起こる連続誘拐殺人事件の最初の被害者・雛月加代の生存です。

初恋の子だった?のもあってか、悟が小学生あるまじき気合いと行動力を見せるあまり、クラスメートの男子から誤解?を受けたり。

しっかしまあ、小学生でこういう流れだと、ひたすら鬱陶しく冷やかされてそのうちマジギレに発展したり、「興味ねぇよあんなブス!」とか心にもない発言をして好きだった子を泣かせてゲームオーバーになったり、家に帰ってカーチャンに八つ当たりしてもおかしくない展開でしたが、この地区の子たちは恋愛に関して余裕のある窓口になっていらっしゃるのか、親身になって相談を受けようとしたり、加代と二人きりになれるよう段取り組んでくれたりと、すっごい気が利くステキな奴らばかり。私、こんな時代知らない。

とくにケンヤくんの

「焦って台無しになったらどーすんだよ」
「大事に行けよ」

という、おおよそ私が小学生時代に吐いた覚えがない頼もしい日本語には圧倒されました。
悟が単純な恋愛感情からでは無く、もっと別の大事な事をしようとしていることに感づいたりと、今後の活躍が楽しみな少年です。

悟が守るべき予定の加代ちゃんは母子家庭で、しかも母親から虐待を受けていました。

「小学生連続誘拐殺人事件」の最初の被害者である加代ちゃんには、事件以前から何かが起きている。

もしかしたら加代ちゃんから「真犯人」にたどり着けるかもしれないと考えた悟は、周りのマブダチも気を利かせてワザと集合場所に遅刻して悟と加代ちゃん二人きりの時間を作ってあげるといった小学生あるまじきナイスアシストもあり、積極的に加代ちゃんに接近。

10歳の子と手が触れあって赤くなるという29歳あるまじき場面も見せてた悟ですが、中身は立派な29歳なので加代ちゃんの母親に直接会って詰め寄る所も見せたり。

悟の母・佐知子のアシストもあり、加代ちゃんを不幸から救う目標は良い方向に進んでいるように思えました。

悟はリアルタイムでは誘拐事件の犯人として死刑が確定しているユウキにも会い、疑われても多少仕方ないような本は多少お持ちでしたが、殺人を犯す人物とは考えられないことを29歳の判断力から再確認。

「加渡島建設」という看板になにか失われた記憶が戻りそうになる気配を感じつつ、加代ちゃんが居なくなった運命の3月1日を迎える悟。

悟29歳の歴史では、3月1日夕方6時少し前くらいに公園でひとり佇んでいる加代ちゃんが、悟が最後に見た加代ちゃんの姿でした。

今回は6時25分まで加代ちゃんを児童館に留め、10歳の加代ちゃんに全力でオセロに負けたりして極力ひとりにさせず、身体は同じ小学生なんだから自分が誘拐されるかもしれないという可能性はガン無視で加代ちゃんを自宅まで送り、目覚まし時計片手に日付が変わる瞬間を加代ちゃんの自宅前で迎える徹底ぶり。

その甲斐もあって加代ちゃんは3月2日も登校。

学校が終わった後は悟の家でいっしょに誕生日パーティーを迎える事が出来ました。

ここまで過去の事実を変更すると未来がタイヘンな事になっている気も若干いたしますが、加代ちゃんの運命は変える事ができたことに喜ぶ悟でした。

僕だけがいない街 2
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―――が、

翌日、加代ちゃんは学校をお休み。

次の日に加代ちゃんから誕生日プレゼントを受け取る約束は果たされなかった。といったところで次回です。


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