かんそうのほんだな

僕だけがいない街 8巻 三部けい 最終回

僕だけがいない街 8巻 三部けい 最終回

「リバイバル」という何度も人生のやり直しができる反則スキル持ちの悟を、その都度返り討ちにした西園=八代。

正直タイマンでは、いくらスクーターで暴走トラックと併走できるポテンシャルの悟でも八代に敵いません。しかも今回松葉杖だし。松葉杖だし。

しかし今回は藤沼悟の賢也がいるー 藤沼悟の母がいるー 

悟は今度こそ、八代をぎゃふんと言わせることがでしょうか?

僕だけがいない街 8巻 僕だけがいない街 8巻

第8巻収録話
第41話 「待たせたね 2005.08」
第42話 「目標 2005.08」
第43話 「告白 2005.08」
第44話 「僕だけがいない街 2012.01」

「さざんかの集い」でやってきました最終ステージ・山茶花池公園。

運転手に変装していた八代は着々と計画の下準備を実行中。

世間一般で見れば、10歳から15年間意識不明だった悟は「見た目は大人、頭脳は子供」の逆コナン状態な時の迷い人。

小学生女子の久美と悟が病院で一緒にいたことを匿名掲示板に書き込み、悟には「その気がある」風を焚きつける八代。

今回の八代は、久美を殺害してその罪を悟に着せる作戦のようです。

こっからが悟と八代の、貼って貼られて貼り返されてな天使と悪魔の知略の応酬、伏線ブリバリなので、しっかり脳の皺を揉んで増やしとかないと取り残されます。取り残されました。

芸コマな部分がたっぷり用意されているので、それに気づいていくとより一層美味しくいただけます。

悟の母・佐知子の携帯を奪っていた八代は、メールで久美を殺害準備万端のやまぶき荘に呼び出し。

しかし悟が事前に久美の携帯をジゴロトークで交換していたので阻止。

悟が書き換えたメールで1人りんどう荘に訪れた久美を、賢也が離れた位置から…意外と離れてない位置から安全を確認。これも子供のころからハイスペックだった賢也の成せる技。

獲物が掛かっていないやまぶき荘内でしばし呆然とする八代は、「あの頃」のように悟が計画を妨害していることに喜びを感じておられます。

1988年。悟が意識不明になる年にはまだ一般的では無かった携帯メールを利用した作戦を、見事看破した悟はホントスゲーな!みたいな。

しかし「期待通り」と称した八代はインターバル無しの第二ラウンドを展開。

「なんかよく分からないけど、これくらい看破するだろう」と予測して本命のトラップを別に用意していました。

誰もいなかったりんどう荘をでた久美は、「さざんかの集い」のスケジュール表に書かれているとおりの行動に移りますが、そのスケジュール表は予め八代が久美のだけ書き換えていたもの。久美はそのまま行方不明になります。

協力者の賢也の存在を八代に知られないため、賢也が久美を徹底マークしなかったのが裏目に出てしまいました。
八代は賢也がきていることをとっくにご存知の様子でしたけど。

まんまと偽のスケジュール表に動かされた久美は、行き先に置いてあった悟の水筒に入った水を乙女心どきどきさせながら飲んで見事昏睡。フフフ、他愛もない。

八代は深い眠りについた久美をボートに乗せて、半沈没状態で放流。

その間にボートの様子が見れる吊り橋に爆破トラップを仕掛け、流されてる久美のボートを追いかけて吊り橋にやってきた悟をボンバーすれば正直シビれるわけです。

しかし、いそいそと爆破トラップを仕掛けている最中に悟が吊り橋に登場。よう、15年ぶりだな…

久美の持っている書き換えられたスケジュール表により、八代には15分のアドバンテージがあるハズでした。

八代の算段では、悟が誰かの手を借りたとしても松葉杖必須のその身体で久美を助けて悟が吊り橋まで坂を登ってくるのは、爆破トラップが仕掛けられた後になるハズだったのにナゼ?

違う時間軸では、これまで蜘蛛の糸を切るように容易く殺害計画を成功させていた八代。

それを唯一妨害してくる悟の、予想の上を行くディフェンス能力に知的好奇心がおさまりません。

八代は「他者の死に抗う姿」の悟を殺すことこそ意義があるとし、今回は過去に使用した手口をあえて使って回収させたりもしてました。

「期待通り」だったのが、「期待を超えて」いて、正直手の震えが止まらないよ?

しかし生殺与奪が蜘蛛の糸として見えるほど計画的殺人に関して天才的な頭脳を持つ八代に、小学生の頃から対抗してくる悟はなんなんだい?

「聞かせてくれ悟 君のその目に宿る輝きの正体を」

しかし悟から返ってくる言葉は「やり遂げたいっていう意志」「前に踏み込む覚悟」と、なんだか抽象的ぃ。

多分そんな返答だけじゃあ八代は納得いかなかったと思いますが、悟が小学生の時に口にして八代を驚かせた言葉「心の穴」が、実は八代の言葉だったことを告げる悟。

「僕の小学5年生は3度あった そして……現在は2度目の2005年だ
 先生には15分のアドバンテージ… 僕は18年のアドバンテージでやっと五分だよ」

ナルホドね!

というわけで、八代もようやく納得。賢也すら信じなかった「リバイバル」を、八代は信じました。

それだけ八代の計画は完璧で、1度見てこないとわっかんねーだろうなーという確固たる自信があったのでしょう。

まあ、その、このあとすぐ相打ち狙いしてくるので、「なんだそのマンガみたいな能力。悟くんずるーい」という気持ちも、頭捻って計画を練りあげてきた八代とっては多少なりともあったんじゃないかなーって。もうなんもかんも終わらせてやるわーって。

2人がいる吊り橋の上で燃料に火をつける八代。

今も昔も悟の頭に蜘蛛の糸は見えてませんが、ゴリ押しの共倒れでいくみたいです。

しかしここで悟は、八代の「15分のアドバンテージ」を無視したトリックの答えを展開。

実はすでに松葉杖が必要ないまでに身体が回復していた悟は、八代に速攻タックルして一緒に吊り橋の下にダイブ。

ボートで待機していた賢也たちによって2人は無事保護。となりました。

水辺に写る自分の頭から蜘蛛の糸が消えているのを見て笑う八代。

自分の生殺与奪すらも自分の思い通りだったのが、悟によって消え去った瞬間でした。

その後の八代は全面自供で確定死刑囚。

3回も人生やり直してようやく天才八代と五分以上に持ち込めたのは、ひとえに仲間のおかげ。

感謝の言葉にウルッときている賢也に悟、追い打ちの握手。やはりケンヤくんは優秀だった。

悟は2010年に高卒認定、2012年には多数のアシスタントをかかえるビッグっぽい漫画家になっていました。

悟が外を歩いていると大雪となり、ふと雪宿りした高架下。

多分、最初の時間軸であの子と最後の別れとなった場所?

そこに雪宿りに駆け込んできた女の子は

僕だけがいない街 8巻
僕だけがいない街 8巻
三部けい(著)
Amazon 僕だけがいない街 8巻詳細ページへ

「未来は常に白紙だ 自分の意志だけが そこに足跡を刻める」

2人の足跡が雪に刻まれた絵が入って、物語は終了で御座います。


関連記事

è